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宗教学専攻

【宗教学専攻】2021年度提出の博士論文・修士論文のご紹介②

本記事では、髙田彩先生の博士論文をご紹介致します。

概要と感想をご寄稿いただきましたので、ご一読ください。

 

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●髙田彩

<論題>

「宗教集団の運営に関する宗教社会学的研究――武州御嶽山を事例として――」

<概要>

本論文では、宗教集団を様々な担い手によって構成される経営体として捉え、宗教集団がどのような担い手によって運営されているのか、武州御嶽山(東京都青梅市)の山上集落および宿坊を事例として検討した。

その際、宗教活動には直接的に関わらない担い手とその具体的な仕事内容に注目した。具体的には、武州御嶽山の宿坊で働くことで、運営を支えている人々を対象に、その仕事内容や役割の変遷を、働く人々を取り巻く環境に大きな影響を与えた武州御嶽山の観光化の過程を含めて明らかにした。

本論文では、近現代の武州御嶽山の山上集落における宿坊を中心とした地域社会・地域経済を、観光化の過程と経営体としての武州御嶽山の運営を支える人々という二つの視点から分析することを通して、各担い手の存在が宗教集団のなかで、どのような意義を持つのか考察した。

<感想>

本論文は、武州御嶽山での参与観察型調査や、武州御嶽山の関係者に対する聞き取り調査によって収集した情報をもとに構成されています。武州御嶽山に足を運ぶようになった当初は、宗教的職能者の御師の方々や講社の方々にお話をお聞きしたり、配札活動に同行したり、太々神楽の奉納を見学したりすることで、主に宗教活動に注目して調査を行っていました。

 その過程で、偶然、いつもお世話になっている御師の方から、宿坊でアルバイトをしてみないかとお声がけいただきました。今思い返してみると、この一言が、博士課程での研究の方向性を決める転換点だったと思います。

 これまで、御師の方々からお話をおうかがいしたり、実際に御師の奥様である、宿坊の「おかみ」が掃除や料理をしているところを見たりして、御師とそのご家族がどのような仕事をしているのか知っているつもりになっていました。しかし、見ているのと実際に体験するのとでは大違いで、掃除や調理、接客など、宿坊の運営に必要な仕事が、精神的にも肉体的にも重労働であることが、身にしみてわかりました。

 この宿坊アルバイトの経験によって、掃除や調理、接客などを担当する人がいなければ、宿坊を運営することは不可能であること、宿坊運営に必要な実務を担う「おかみ」の存在が重要であることに気づきました。こうした経験は、私の心を強く揺さぶり、これまでの認識や価値観を見つめ直すきっかけとなりました。

 そして、宿坊アルバイトの経験によって芽生えた新たな関心に基づいて、博士論文では、宗教活動には直接的に関わらないけれども、宗教集団を運営するために必要な仕事を担う人々とその役割をテーマにすることに決めました。このような経験がなければ、博士論文を書き上げることはできなかったと思います。

 「よそ者」である私を受け入れ、温かく接してくださった武州御嶽山の皆様には感謝してもしきれません。今回執筆した博士論文によって、武州御嶽山の皆様に少しでも恩返しできたら嬉しいです。また、博士論文を執筆する過程で、先生や研究室のメンバーに大変お世話になりました。記して感謝申し上げます。

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髙田先生、博士号取得、誠におめでとうございます。

なお、各年度の提出論文のタイトルは、研究室ホームページでも紹介しています。ぜひご覧ください。(リンクはこちら

(文責:髙田彩・東海林由緯人)