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宗教学専攻

【宗教学専攻】2021年度提出の博士論文・修士論文のご紹介③

本記事では、大場あや先生の博士論文をご紹介致します。

概要と感想をご寄稿いただきましたので、ご一読ください。

 

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●大場あや

<論題>

「葬制の変容と住民組織に関する研究――山形県最上郡最上町の契約講と新生活運動――」

 

<概要>

山形県最上郡最上町における<葬儀を支える住民組織>である契約講の再編過程を跡付け、同地の葬制に変容をもたらしたインパクトと、その変化を促進させたメカニズムを検討した。その際、地域社会の内部文脈(契約講の組織再編および地域住民の動向)と外部文脈(戦後の新生活運動をはじめとする政府・行政による諸政策の影響)の双方から解明を進めた。

検討の結果、専門業者の参入とパラレルに地域の互助組織が撤退し、相即的に葬制を変容させるという単線的な機能移譲ではなく、①地域住民の主体性や合意形成こそが「伝統」に変化をもたらす最大の触媒となっていること、②外部資本への完全なアウトソーシングではなく、地域社会内部における機能の分散ないし金銭を介す形での関係再編と見なした方が妥当であることを指摘した。

 

<感想>

無事に博士論文を提出でき、学位をいただけてホッとしている、というのが今の率直な感想です。博士課程に進学した頃は、先輩方の姿を見ながら「これだけのものを果たして自分は書けるんだろうか…」と圧倒され、自分が博論を書くというイメージができていない状態でした。先生方のご指導のもと毎年必ず学会で発表し、積極的に論文投稿することを心がけました。なかなか上手くいかないこともありましたが、常に目の前のことに取り組み続けていたら、気づけば博論の提出が迫っていたという感じです。あっという間の5年間でした。

調査地である山形県最上町は、親族がいることもあり、幼少期から毎年訪れている第二の故郷でもあります。修士課程の頃から「調査」として通うようになり7年。調査に行く度に新たな課題や問いが見つかりました。知りたいことをとことん調べる時間はこの上なく楽しかったです。しかし、最後の2年間はコロナの影響で現地調査ができず、論文を書きながら「あ、ここもう少し調べたい」「この部分、○○さんに聞きたい」と思う場面が何度もありました。こまめにフィールドへ足を運んでおくことの大切さを身に染みて感じた次第です。

3年間の博士後期課程を終え、単位取得退学したのち、博論提出予定の2021年度に再入学をしました。取りかかりが遅く、不十分な点を残したままバタバタと提出を迎えたことは大きな反省点です。執筆過程では、想像以上に苦労したことがありました。それは、これまで書いてきた論文をただまとめるだけでは、「博論」として一つの大きな研究にならないということです。投稿論文や研究ノートは、1つの問いに対する考察を字数制限の中で論じたものです。それらを「博論」という別の鋳型に流し込んでいかなければなりません。字数制限を気にせず思う存分書けたことは楽しかったのですが、全体を貫く大きな「背骨」としての問いを設定し、それに応答するための新たな(そして大きな)論文をまとめていく作業は、とても難しかったです。

指導教授である寺田先生には、調査の手法や論文の書き方など、研究のイロハからご指導いただいてきましたが、博論執筆段階ではこの「背骨」の部分、つまり各論をいかに1つの大きな研究にまとめ上げていくのかという点をとくにご指導いただきました。視野が狭く、大きな研究構想を描けていない筆者を粘り強く導いて下さいました。

また、審査の過程では、副査である山田慎也先生、平山昇先生、村上興匡先生に懇切丁寧なご指導をいただきました。葬制研究、日本近代史の第一線で活躍されている先生方に審査いただけたことは、大変嬉しく、光栄でした。

提出前には、宗教学研究室OBおよび寺田ゼミのみなさんが何度も下読み・校正をしてくださいました。とても心強く、「研究は一人ではできない」ということを改めて実感する機会となりました。

先生方、院生のみなさまのおかげで、修士課程から取り組んだ7年間の成果を学位請求論文としてまとめることができました。心より感謝申し上げます。まだ頂いた課題に全て応えられていませんが、今後取り組むべき方向性・ヒントを頂いたと思って、これからますます研究に精進していきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします!

 

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大場さん、博士号取得、誠におめでとうございます。

なお、各年度の提出論文のタイトルは、研究室ホームページでも紹介しています。ぜひご覧ください。(リンクはこちら

(文責:大場あや・東海林由緯人)